心に染みる音楽 ~田舎の生活
今日の心に染みる音楽は、スピッツの「田舎の生活」です。
スピッツといえば、「チェリー」「ロビンソン」などの大ヒットで、それらの曲は
広く親しまれているし、今でもチェリーはカラオケで定番に歌われる曲で、娘世代でも
歌われている、まさにロングセラー。
その中で、この「田舎の生活」は、ミニアルバムの「オーロラになれなかった人のために」に収録されている、マイナーな曲です。
私はスピッツのファンクラブに入っていたこともあり、それはもう色々な曲を知っていますが、この曲はふっと、穏やかな心を取り戻したい時に聴きたくなる、切ない系の曲です。マサムネさんの声がまた、よく合っているんですよねー。
5拍子から4拍子に変化する、なかなか一筋縄ではいかない、マサムネさんのあまのじゃくさが出ているようなところも好きだったりしますが、何より好きなのは、この美しい歌詞。
スピッツの曲は、歌詞の表現が独特でわかりにくかったり、比喩を用いているものも少なくないのですが、この曲は曲調こそ独特ですが、逆に歌詞は、ストレートに情景が浮かぶようなものなのです。
なめらかに澄んだ沢の水を ためらうこともなく流し込み
懐かしく香る午後の風を 濡れた首筋に受けて笑う
野うさぎの走り抜ける様も 笹百合光る花の姿も 夜空にまたたく星の群れも
当たり前に僕の目の中に
こんなに田舎の情景が目に浮かぶような歌詞は、ロックグループで私は
あまり見たことがありません!そもそも、このアルバムはロックテイストは押さえているのかもしれませんが・・。
マサムネさんの繊細な文学的センスが光る歌詞です。
必ず届くと信じていた幻 言葉にまみれたネガの街は続く
さよなら さよなら 窓の外の君に さよなら言わなきゃ
けど、幻、と言っています。結局主人公の僕がいるのは、言葉にまみれたネガの街。
ネガ・・最近ではあまり聞かない言葉ですが、写真を現像してできる、あのセピア色の写真の元になるもの、ですよね(言葉合ってますか・・?)
私はここで、かつて田舎の生活を楽しんだ自分と、その写真が思い出となってしまい、今の生活とはかけ離れてしまったことを揶揄していると捉えています。
窓の外の君は、本当の窓、ともいえるし、自分とは違う世界、という意味で、向こう側にいる君との「決別」と示しています。
一番鶏の歌で目覚めて 彼方の山を見てあくびして
頂の白に思いはせる 滑り落ちて行く心のしずく
根野菜の泥を洗う君と 縁側に遊ぶ僕らの子と
うつらうつら柔らかな日差し 終わることのない輪廻の上
この歌詞もまた秀逸。
ただ、ここは僕が、実際に田舎に妻子を置いてきた、とも解釈できますが
私はマサムネさんの得意な妄想かな?と思っています。
あの日のたわごと銀の箱につめて
さよなら さよなら ネガの街は続く
さよなら さよなら いつの日にか君とまた会えたらいいな
もしこれが現実なら、結構お気楽すぎますよね・・・。
確かに、昔田舎の生活を夢見て、好きな人と一緒になって、そこでの生活を妄想したり、2人で語り合っていたのかもしれません。けれど、実際には、叶わなかった。どういう理由か分からないけれど。
そんな甘い思い出を噛み締めているような、優しい歌声と、優しい音楽ですね。
満島ひかりさんが、スピッツの中でこの曲が一番好きと言っているそうです。
私は・・一番ではないかな?
またベストの曲については、そのうちに紹介しようと思います!
明日も、穏やかに過ごせますように。